孤杖伝

神道夢想流杖術研究

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「眉間」孤杖伝4

剣術道場の師範ではあったが、幸之助は人を斬ったことはなかった。 そもそも当時においても、人前で刀を抜くこと自体が、まれだった。 侍が一度抜いたら、もう後には引き下がれない。 相手を斬り捨てるか、自分が斬られるか。 刀を抜くというのは、それほど…

「廃刀令」孤杖伝3

浪人が歩いていた。いや、浪人だった、というべきか。 侍という身分が無くなった以上、浪人もいなくなったはずだった。 しかしかつての浪人のように、男は太刀を腰に差していた。 すれ違う者たちが太刀を見ているのがわかった。しかし男は気にした様子もない…